既存浄水場を対象とした水質改善技術の開発
和歌山市の上水道は、大正14年に給水を開始して以来90年近くの歴史があり、5浄水場を有し、公称施設能力は213、034 m^3/日です。このうち、加納、出島、島橋の3浄水場はスラリー循環形高速凝集沈澱池(以下高速沈澱池)を用いて、紀の川の表流水を凝集沈澱?急速ろ過方式で処理しています。残り2浄水場のうち真砂浄水場は紀の川の伏流水を緩速ろ過方式、滝畑浄水場は滝畑川の伏流水を膜ろ過方式で処理しています。全国的に見て、浄水施設の老朽化、ならびに原水水質が悪化している状況下で浄水水質基準の強化に対応するために、多くの水道事業体では施設更新の課題を抱えています。特に、中小規模の水道事業体では財政面から容易に更新できないのが実情です。和歌山市は中規模の水道事業体に該当しますが、水需要が年々低下し料金収入が減少する状況を踏まえ、事業全体の効率化と経営の健全化に取り組み、その中では、老朽化施設の整備や施設の統廃合等を進めています。本研究は、既存浄水場の施設整備による水質改善や効率的な水質管理の構築などをテーマに進めています。